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★ 世良と堺サンの8月10日 その1
堺サンちのテレビは結構でかい。いつもホコリとか全然なくてすげーキレー。キレーなのテレビだけじゃねーけど。そろそろだから、堺サンに断ってリモコンでテレビのスイッチを入れる。ブウン、て音がして、画面が映った。ビールのCMではあのチームの選手が走ってる。いつかそんな話とかオレにも来たらいいのに。そんくらいの選手になれたらいいのに。 赤崎の出てる試合がもうすぐ始まる。キックオフは18時。堺サンと一緒に試合観られんのはすげー嬉しい。マジ嬉しい。でもやっぱ、オレはあそこに立ってたかった。すげー悔しい。フクザツすぎる。こういうときってホントどうしていいかわかんねえ。そりゃ赤崎がどんなかわいくねー後輩でも、出るからには活躍してほしいって思うし、代表には勝ってほしいって思う、けどやっぱオレが出たい。あの青いユニフォーム着てたかった。 ごちゃごちゃいろいろ考えてるオレの目の前、堺サンが麦茶のコップを置いた。氷がカランて鳴る。キレーな音だったから、なんかちょっとホッとした。少し距離あけて隣に座った堺サンを見る。こっち向いてたから、目が合った。 「……余計なこと考えてんじゃねえよ、ねえ頭で」 言いながら堺サンはオレの頭をポン、と叩いた。オレがぐちゃぐちゃになってんのバレてたみたいだ。ホント、こういうとこ、たまんねえって思う。いろいろ悔しくて嬉しくて、ちょっと泣きそうだ。試合会場、国歌セーショーで見事に歌ってねえ赤崎が映った。ちくしょう、頑張りやがれコノヤロー。 |