★ 星野と持田様の8月10日

 テレビの右上、時計はもうすぐ18時近い。外は多分、まだ馬鹿みてえに暑いんだろう。この部屋じゃあそんなこと、忘れちまいそうだけど。

 昼間に買い物で東京まで出て、入ったデザイナーズブランドのショップでバッタリ会った。機嫌がいい、のかどうか怪しいハイテンションで、畳み掛けるように話しかけられて、そのまま昼飯に連行された。連行っつうか、俺の車の助手席に無理矢理乗り込んできたこの人の指示にしょうがねえから従ったら、謎の多国籍料理の店に着いた。内装からメニューから何もかもが見事に節操のねえ店だったが、そのわりに味はよかったから文句はない。適当に頼んでサッカーの話しながら食ったあと、今日が五輪代表の試合の日だって話になって、今から帰ったら多分キックオフ間に合わねえな、なんて言うともなく言えば、俺んち来れば、なんて言うから。

 結局、だだっ広くてモノのねーとことあるとこがおかしいくらい偏ってる部屋までの大して距離もない道を運転させられて、今ここにいる。革張りのどう見ても高いソファに沈み込むみてえに座った持田サンは、さっきから一言も喋らねえ。試合観るんなら、うるせえよりはそっちのほうがいいから構わねえけど。

 テーブルの上で軽く汗かいたビール缶に手を伸ばす。飲み干したところでホイッスルが鳴る。こっから先は、遊びじゃねえ時間。