おむれつのはなし

冷蔵庫に貼った昼飯のメニューを見た世良が真剣な顔で堺サン、と俺の名を呼んだ。何なんだその真面目な顔は。嫌いなもんでもあったのかこのガキ、なんて思いつつ適当に返事をすれば、オムレツならオレでも作れるような気がします、やらせてください、ときた。最低限の洗ったり切ったりかき混ぜたりはできるヤツだから、まあやらせてみてもいいかと思って玉子をとり出す。ただ、中に野菜炒めたの入れるからお前、ちゃんとこう、中身片側に寄せて、パタンといけよパタンと玉子を、こう……と手の動きつきで言ったら、くしゃくしゃの笑顔で、頑張ります! と妙にはりきった返事。大丈夫かコイツ。

数分後、結果として、いろいろはみ出て不格好ではあるが、味はそこそこのオムレツが二個、食卓に並んだ。食いながら、ふと、初めて世良が作ったもんを食ったな、と思った。どうでもいいことだ、と言い切ってしまうには、妙に胸の内があたたかいのが癪だった、そんなオフの話。